スルース (2007)

文字数 541文字

【襲名披露(自薦ですけど・・)】 2009/9/16



1時間半足らずの小品だが由緒の正しさは疑うこともなし。
俳優の演技に嘆息するシネマとしてのミニマリズム極致、二人芝居。
リメイク元は伝説の豪華キャスト、
ローレンス・オリヴィエ vs マイケル・ケイン、
その伝説を継承するのが、
マイケル・ケイン vs ジュード・ロウ。

この継承の核はマイケル・ケイン。
マイケル・ケインがローレンス・オリヴィエの役を引き継いでいる。
そこに見えてくるのは、ジュード・ロウ正統継承権のパースペクティブ。
オリヴィエ ⇒ケイン ⇒ロウ
英国演劇界命脈に心から賛同してしまった。

正統派の証になるのか「スルース」。
リメイクとはいえ現代の感性に対応した修正が施されている。
リモートコントローラーを弄びながら邸宅のセキュリティTVで若者を迎える老人。
選び抜かれたモダンインテリアの冷たさは
弥が上にも二人が張り巡らす「だまし合い」を熱く浮かび上がらせる。

ストーリーの古臭さに不満を言ってはいけない。
これは古典であり、襲名儀式でもあるから。
しかし、第二幕での変身には素直に驚かされる。
観客の驚愕は役者冥利に違いない。
正統派、継承、襲名・・・こんな想いで胸が塞がってしまう。
さて、今度ジュード・ロウが相手をする美容師は誰なんだろう?

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