新宿スワン (2014)

文字数 610文字

【疑似裏社会物語】 2015/5/31



綾野剛、山田孝之、伊勢谷友介、の3枚看板で期待値が高まる。
沢尻エリカの魅力もちょっぴりそれに香りづけされたりもしたが・・・・。

実際には、この4人のほかに多くの脇役陣に支えられた、
文字通りの群像シネマになっていた。
繰り返される大勢での乱闘は「クローズ」等を彷彿させ、
子供たちの暴力対決を引きずっている。
新宿のスカウトたちは、中坊並の単純な連中というわけではないだろうが、
おかげでエンターテイメントとしては素直に面白がることができた。

近年「ヤクザシネマ」が陽の目を見れない状況だが、
その代わりにこのような「疑似裏社会物語」になってしまうのだろうか?
スカウトたちの斡旋先は風俗業界だが、
本作ではそれを必要悪として正当化している一方、
不法薬物、殺人には一定の距離を置いて官憲に逆らっていないのも可笑しい。

そんな事より、観所は、やっぱり男3人の演技の競り合いだった。
綾野剛が一見不自然なくらいの純真さで新宿を生き抜くのに反して、
山田孝之は屈折した残虐さを隠し持ちながら心の弱さをさらけ出す。
この二人にもっとフォーカスした脚本も観てみたいと思いながら、
伊勢谷友介はじめ癖のある脇役に邪魔され続けたという思いが残った。

まぁ、この辺が今の日本シネマの限界なのかもしれない。
肝心の沢尻エリカはいつも下着姿ばかりだったのでちょっと気の毒に思えたが、
しかしこのマッチョシネマでは活躍の場もなかった、残念。

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