葛城事件 (2016)

文字数 538文字

【崩壊の理由は何なの?】 2016/6/20



先ずはもって、三浦友和シネマであることに異論はない。
厳しく、口やかましく、独断の、そうどこにでもいるちょっと変わった父親が絶望に至るまでを演じている。
その顔つき、眼光、動作が荒んでいく過程を哀しいまでにこと細かく表現している。
時折耳に響くご本人独特の優しい声すら昔昔の良きパパの証しのように感じた。
三浦友和さん 絶品!

シネマは執拗に葛城一家の悲劇を追いかける。
優秀な長男の悲劇、嫁との確執、次男の引きこもり、そして母親の脆くて今にも壊れそうな心。
見ている僕は、
「そのやり方では子供は納得しないよ」 とか、
「相手の言い分も聞いてあげなければ」 とか、
「過大な期待は子供にとって碌なものではないよ」 とか、
そんな想いが周り巡っていた。

家族は結局は一人一人別々のものを持って生きている。
家長たる父親は本シネマではその点を見過ごしていた。
でも、現実に父親はどうやって子供たちを、そして家庭を守ることができるのか。

繰り返される、貧困の側面があった。
リストラ、非正規雇用、個人商店の窮乏。
いつも市販弁当を個々に食べる人たち。

いや、そうではない、貧困は家庭を阻害する要因では決してない。
昔はもっと貧乏だった。

ではその理由は一体何だったのだろうか?
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み