SAYURI (2005)

文字数 985文字

【少女時代のサユリ】 2007/2/11



オリジナルタイトル《MEMORIES OF GEISHAI》、
観たくないシネマの評判が高かった作品、
僕もDVDでいいか・・・て思ってた。
でも、某TV番組「渡辺謙さん密着」のなかで謙さんが熱っぽく
この作品を売り込んでるシーンを見て、改めて興味を持った。
謙さんの主張は日本の伝統・文化を見て欲しいと言うアピールなのだが、
彼の見解は洋物原作をハリウッドがチャン・ツイイー主演で製作して
どこに日本の文化があろうか?
という僕の疑問と真正面から対立するものだ。

実はこのTV番組以来、謙さんのサポーターたらんと思い、
彼の真意を見ようと思ったわけだが、
とき既に遅し、《SAYURI》は公開終了してた。
果たしてDVDでの感想はいかに?

一番危惧する、日本人が観て「これは変」という内容かどうかがまず重要だが、
それ以前に謙さんの主張する日本文化(もっとも裏文化だけど)が違和感なく伝わってきた。
というよりも、僕らだって戦前の花柳界のことなど知るわけもないし、
持っているイメージですらシネマ、TVらのバーチャルな物で醸成された世界だ。

だから本シネマ《SAYURI》はひとつの解釈でありうると同時に、
ハリウッドがこれほどまでに日本を理解しようとした熱意の結晶であるとも解釈できる。
総合評価として、日本人はこの作品と携わったスタッフに敬意を表すべきだ。
主演のチャン・ツイイーは相変わらず怖いほど可憐だ、
特に素顔のときの(芸者でない場面)表情は彼女の見せ所なのだろうが、
とても日本的ですらある。
絶対に彼女はSAYURIにはなれないだろうと思ってたが、
予想を覆して見事に演じきってた、精神的にだけど、勿論。

そうなんだ、全員が英語をしゃべるのがおそらくは
日本人観客にとっては本能的違和感であり、
シネマに入っていく大きなハードルだろう。
しかし、ここはぐっと我慢してくしかない。
または日本人俳優の英語力を堪能してみてもいいかも。
謙さんはじめ役所さん、桃井さん、皆たいしたもんだ。
工藤夕貴はハリウッド在だから上手いのは当然だけど。
そして想像していたより彼ら日本人俳優の役割が大きかった。

そう考えたとき、SAYURIを日本人にキャスティングできなかった
日本の実力を思い知ることにもなる。
サユリの少女時代を演じた大後寿々花ちゃんが成長して、
SAYURIを演じる夢を見た。

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