初恋 (2006)

文字数 686文字

【うれしびっくり】 2007/7/17



団塊世代が定年を迎え始める2007年に先立って製作された意味が痛く胸に響く。
僕ら団塊が話題になるのも、それでも僕らが現役でいられる間だというぐらいはわきまえている。みすずと僕は同じ歳。

「初恋」は、団塊世代青春の鎮魂歌として観させてもらった。

1968年は反体制が市民権を維持できたレジームとしては最終章、崩壊始まりの年だった。
僕らのお兄さん、お姉さんたちはその焦燥感から、目の前で過激に傾くか脱落していった。
僕らは反体制初心者、
めいっぱいの真実を求めて精一杯先輩の話を聞いた日々が甦ってきた。
彼らに憧れたり、幻滅したりの青春の毎日だったのは、
世の中が大きく変わっていく予感に追いかけられていたからだろうか?
僕は、みすずのような行動は取れなかった、結局のところ。
せいぜい、ジャズ喫茶にたむろし、学生デモの周りで右往左往する程度だった。

3億円強奪事件は、当時もおかしな事件だった。
みすずの犯行だとしてもおかしくないだろう、そのくらい不可解だった。
でも、当時もそうだったが、今でも僕にとってはたいした事件ではない。
そう、
このとき、みすずと同じように、もっと大切なこと、大事な友、忘れがたい情熱があった。
団塊世代の功罪のピークがこの時代に存在していたと、今で信じている。

僕らは世の中に役立ったのだろうか?

そんな思い出に苛まれる団塊世代の総括を、
「初めて恋をした、二度とこんな気持ちになれない・・・」
と留めおいて失踪した男に託す恋心、
みすずの純愛として、素直に受け止めさせてもらった。

宮崎あおいが僕の青春にまで忍び込んできた、うれしびっくりした。
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