フリーダム・ライターズ (2007)

文字数 752文字

【「ノブレス・オブリージュ」】 2007/12/20



「信念と理想がなければ人に教えるなどはできないこと」が良く理解できるシネマだった。
サラリーマン、それも規則でがんじがらめ縛られた公務員教師には、主人公エリカのすがたは
遠~い世界のことに思えるはずだろう。

そうなんだ、これは遠~い世界のお話かもしれないが、あるべき世界だ。
ふと思いついた言葉が「ノブレス・オブリージュ」。
教育は地域の、社会の宝である後継者、子供たちに夢を託す高貴な作業だ。
それは、身分や生活向上のための生産活動であるはずも無い。
なんの憂いもなく理想的な教育ができるといいのだが・・・。

もっとも、現実はそうはいかない。
主人公の新米教師は、理想に邁進するよく言えば純粋、悪く言えば世間知らず。
徒手空拳で生徒に飛び込む、目前の大きな壁である「人種対立」を崩そうとする。
主人公が選んだ策は、諦めずに前に進むこと:
■教材が支給されないと知ると、週末に働き資金を稼ぐ。
■先輩教師の圧力には外圧(政治、メディア)を利用し対抗する。
■親に助力してもらう。

実話をベースにした物語だそうだ。
といって、だからどうということも無い。
輝くエリカが代償として失った悲しみを、
臆病な僕は「そら見たことか!」という。
そんな程度の常識しか持ちえないのが世間の人間なんだろう。
自らを犠牲にして生徒に尽くすことはほんとに美しい感動なのだろうか?

教育を勇気ある個人の奇跡に任せていいものか?
エリカに教えてもらえる生徒の数は宇宙の星星の一個にも満たない。
観終わって、やるせない気持ちになった。

もちろん、エリカに何ら責任があるはずもなく、
このストーリーを形にしてくれたヒラリー・スワンクの熱意には、
ただ感謝するのみだ。
が、しかし、
教育者とは?
教育者たる価値とは何か?
を考えさせられた。
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