ホリデイ (2006)

文字数 862文字

【ラブストーリーには肉体と精神が不可欠】 2007/8/22



ラブストーリーはかくありたいもの。
誰も死なない、
難病にならない、
亡霊も出てこない、
タイムスリップもしない。
僕が知らなかったのは、「おうち」を交換するアイデアくらいかな?
付帯什器も込み交換ってのも大胆だし、男(什器かい?)もついてくるのが愉快だね。
まぁ、シネマのお話だし、だから「夢か現か?!」と楽しめるのだけど。

相変らず、男女の感情の機微だけでストーリーを紡いでいくマイヤーズ監督が大好きだ。
《恋愛適齢期》の折にも感じ入ったものだが、マイヤーズ監督は男心の表現も上手だ。
当然女性の気持ちも的確に汲み取っているのだろうけど。
たとえば、
プラスティックビューティ・ジュード・ロウの感情モンタージュ:
●初登場の酔っ払いシーンで飲むブランディ、多分な生活負荷の浸潤感
●育児の尊さと重要さを語る高揚感に隠しきれない生理的不達成感
●ナプキンマンは僕もつられ笑いしたが、彼の眼にみえたかすかな戸惑いの使命感
●二人のお嬢ちゃんが屈託なく眠る同じベッドで仕事をしながらふと覚える満足感を裏切る焦燥感

もうひとり、僕のお気に入り キリングビューティ・ルーファス・シーウェルのリアリティ:
●決して一人の女性では満足しない罪悪に気づかない裏無謬
●女性をして自分の存在理由にする勘違い傲慢
●ハンサムな自分を知ってのまめな戦略戦術

またもや、元気な姿を見せてくれたアグリー・イーライ・ウォーラックの仙人技:
●階段を駆け上がったのはCGだったのですか?
●憎めない小悪党がとうとう、オスカー作家ですか、よかったです。
●映画人の誇りを演技でなくナマで感じましたよ。

男性の視点でもこのシネマが面白いのは、こんな繊細さを映像に観ることができるからだろう。
順序が逆になってしまったけど、何も女優陣に不満があるわけではありません。
そう、
主役のケイトとキャメロン、美しく聡明、魅力的でした。
ラブストーリーには肉体と精神が不可欠であることを二人は証明してくれました。
今更な証明ですけど、今だからこそ必要なのでしょう。
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