エル ELLE (2016)

文字数 575文字

【フランス女性の愛の真実】 2017/8/30



還暦越えのイザベル・ユペールの熱演に唖然としてしまう。
ゲームソフト会社社長の主人公ミシェル(48歳設定)が黒い目だし帽の男に繰り返しレイプされる恐怖、サイコスリラーではある。

僕は、しかし、本シネマの多彩な愛のかたちに魅了されていく。
主人公の父は38年前に狂気の大量殺人で今も服役中、主人公はその悪夢と世間の蔑視に耐えている。
母親はプチ整形を繰り返し若い愛人との結婚を宣言する…好きなように生きるらしい。
別れた夫は才能のない作家で大学の教師、女子学生との恋愛ぐらいしか生きがいもない。
息子は全く生活力のないひ弱な性格、母の財力に頼り、恋人の子供を自分の子として養う体たらく。
事業の共同経営者の女性とは強い信頼で結ばれている長年の相棒(その夫とは愛人関係の主人公)。
お隣は信仰心篤い好感度夫妻(イケメンの夫にちょっかいを出す主人公)。

主人公の奔放な性衝動、フランスでは恋愛には年齢はまるで関係ないことを痛感する。
そして主人公を取り巻く一風おかしな人たち。
フランス中産階級の愛の世界を垣間見た気がする。
そこには見事に人種問題意識など見えてこない、フランスの民主主義の強靭さを羨ましく思った。

いっぽう、主人公を襲った犯人は誰なのか? 何のために?
もちろん物語の決着はある、がそれは大した問題ではなかった、僕には。
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