グレート・ビューティー/追憶のローマ (2013) 

文字数 713文字

【ローマ「愛の讃歌」】 2014/8/23



ローマ愛情物語。
愛の対象はローマの街、そこに住む人々。
65歳になった長老小説家が振り返る人生とローマに対する愛憎が見事に映像に息づいていた。

久しぶりのイタリアンスノッブの世界と、おしゃべりイタリア語に酔うことができる。
65歳になっても(なんと僕と同学年)ローマのデカダンスな生活を繰り返すことでしか
生きる証しが感じられない主人公。
毎夜の乱痴気パーティには、役者、詩人、編集者、実業家、伯爵家(真贋ともに)、
フェミニスト運動家、ありとあらゆるイタリアの常識人が登場してくる。
そこでは罵詈雑言、追従、皮肉そして意味不明の会話が溢れ、とどまることがない。

皮肉と言えば、「この国で良いものは洋服とピッツァだけだ」と笑わせてくれるが、
主人公のハイ・ファッションは一見の価値ありだし、
編集者とオフィスで毎回食する料理も見るからにボーノ。
そうなんだ、デカダンスには極上の酒と料理そして恋愛が欠かせない。
なにしろ、デカダンスという言葉発生の遥か遠い昔から、
ローマ帝国の時代からこの町では頽廃が市民を支配していた歴史がある。

登場人物の極めつけは、宗教者とマフィア。
主人公の放蕩生活から「カソリックの国」ということをすっかり忘れていたが、
バチカンの権威は仏教徒には想像しがたいものである。
聖女のシークエンスでの彼女が草の根だけを食べて104歳まで生きている理由には、
大いにうけてしまった。
そして、締めはやはりマフィア様の一言・・
「みんなが遊んでいる間に、せっせと国を動かしているのは俺たちだ」うけ過ぎ。

ローマの街並み、数百年を経過した建物、遺跡、美術品の愛情こもった映像。
これはローマへの「愛の讃歌」だ。

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