みえない雲 (2006)

文字数 808文字

【シネマファンの立場で一言】 2007/11/26



ドイツはほぼ日本と同じ面積を有し、
人口は日本の1億2700万に対して82000万と少ない。
稼動する原子力発電所の数は、ドイツ17基、そして日本は54基、
日本はドイツの約3の原子力先進国家・・・なのだろうか?

本シネマは1986年のチェルノブイリ原溌事故翌年出版された、原発事故をテーマにした小説「雲」を映像化したもの。
原子力発電の危険性を啓蒙することがその目的であることはストレートに伝わってくる。
原発事故により高校生の少女が逃げ遅れ被爆、家族は死亡し、恋人も放射能障害を発症する。
タイトルにある《雲》とは汚染を象徴する現象だが、当然放射能は眼に見えるわけではない。
追いかけてくる《雲》イコール《死》から逃れようとするのは本能、
見えざる脅威は人々をパニックに陥らせ、人間のかなしいエゴが露わになる。
そんな絶望の中、主人公は生きる勇気を搾り出し、愛を全うしようとする。

デザースタージャンルとしては正統なスト-リー展開だが、恐怖は絵空事とは思えずリアルである。近年、僕らはどれだけ原発の事故、それも隠され続けた事故を経験したものだろうか。
原子力エネルギー活用に関しては、賛否双方説得力のある論理がある。

ここはシネマファンの立場で一言。
かって「ジョン・ウェインはなぜ死んだか」(広瀬隆)を手にしたのは、その刺激的タイトルからデュークファンとしては当然のことだった。
デュークの死因を核実験による放射能の影響とする仮説の妥当性に関する判断はさて置くとして、1基の原発事故が拡散する地域は軽く日本全体を覆い尽くすとする指摘に、そのとき恐怖に肌が凍えた。

そして現在、資料によれば日本には世界第3位の54基の原発がひしめく。
くどいようだが、ドイツは日本と同じ面積、
しかしドイツが組するEU連合は広大なヨーロッパ大陸位置する。

一方、日本は海にかこまれ・・・・・雲から逃れることは・・・。
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