THE FURY (1978)

文字数 661文字

【超能力からスリラーへ】 1979/1/23


ご贔屓 ブライアン・デ・パルマの新作、「キャリー(1976)」、「愛のメモリー(1976)」から受けた衝撃は、単なる怖いもの見たさを超えてデ・パルマのシネマ作法をもっと知りたいという欲望に変化していた。
その想いの裏には、「ヒッチコック継承者」を自称する彼の真の姿を見極めたいという狙いもあった。

冒頭のジョン・カサベテスの裸足の異様さが本作の恐怖をすべてを語っていた。
カメラがテーブルの周りを一往復半する間の父息子の心温まる情景が、悲劇開幕予感を一層際立たせていた、
そして畳みかけるような銃撃戦、目まぐるしいカットバックの連続が、すんなりとデ・パルマの世界(ヒッチコックの世界)へと導いてくれる。

「キャリー」同様に超能力を扱っているが、一方での男たち(カークダグラス、カサベテス)のせめぎ合いをその対極に据えることで「キャリー」の怪奇性から脱却しようしている、しかし一般世間はそう見てくれないところが難儀なのであるが。
例えばデ・パルマが描く愛憎、悲哀、死、をふんだんにイメージしている脱出シークエンス(エイミー・アービング、キャリー・スノッドグレス)は、
ペキンパー風ガンアクションのようなスローモーションで恐怖を紡ぐ、超能力の出番はないが本作一番のお気に入りのスリラーポイントだった。

アンハッピーエンドも、衝撃のエピローグシーンもデ・パルマの定番になってきたようだが、ラストの青光りする眼光は父息子の愛を願う僕をあっさりと否定する。
デ・パルマ恐るべし。
(記:1979年1月23日)
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