ハミングバード・プロジェクト 0.001秒の男たち (2018)

文字数 722文字

【16ミリ秒生きること】 2019/9/27



ジェシー・アイゼンバーグとアレキサンダー・スカルスガルドの競演が本シネマの見どころだった、予想とは違った。
予想というか、いつもの様に事前情報なしのため、ミリ秒単位の通信速度差で一攫千金の夢を追う男たちの物語だと思っていた。
確かに予告編も意図的にそう誤解させるように作られていた…と思う。
無論予告編に騙されるほうが悪いのも十分承知しているが、今回は予想が良い方に外れた。

通信速度の勝利は株取引でどのように作用するかと言うと:
「タイムマシンで未来の結果を見て株を買うようなもの」だとシネマのなかで語られる。
う~ん、「スティング」の詐欺ネタにもあった博打における究極の勝ち方である。
しかし、ITの現代ではもはや詐欺まがいのことはできない。
ただひたすら、通信回線のスピードアップで勝つ、その目標はカンザス・ニューヨーク間を16ミリ秒で取引すること。

カンザス・ニューヨーク間をまっすぐ直線でトンネルを掘り進む主人公たち、
片っ端から土地を買収しケーブルを敷設していく中でのトラブルや達成がシネマのひとつの見どころになっている。

文字通り自分の命に代えてプロジェクトを達成する挑戦者たちに訪れる大きな転機。
ミリ秒の戦いに意義はあったのか?
マネーゲームの底に潜む偽り幸福に気づくのか?
16ミリ秒生きることは100年生きることと同じ価値なのか?
格差世界で生き残り成功することと、人生の本当の幸せに巡り逢えること、
この二つはどうやら一緒に手にすることはできないらしい。


老婆心:
ジェシー・アイゼンバーグは相変わらずの心憎い演技、しかしアレキサンダー・スカルスガルドはアッと驚く役作り。
奇妙だけどうまくマッチしたお二人だった。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み