桜田門外ノ変 (2010)

文字数 681文字

【壮大な名誉回復シネマ】 2010/10/24



シネマ製作の意図を好ましく感じた。
それはテロリスト呼ばわりされた革命家たちの汚名をそそぐ名誉回復だった。
水戸藩周年記念イベントといってしまえばそれまでだが、
150年前の若者の名誉回復が成就した。

正直なところ、テーマである当暗殺事件は尊皇攘夷のひとこまとしてしか
僕の知識には無かった。
正確に言えば、暗殺者たちのプロフィールなど知る由も無かった。
このシネマは、執拗に襲撃グループ17名の行く末を追い続ける。
シネマ作法見地からすれば冗長、無駄なシーンがその個人消息に費やされていた。
それは水戸藩ゆかりの子孫にとって大切だったに違いない。
そんなこんなで、
シネマ製作意図が純粋だったゆえに僕はシネマについ引き込まれてしまう。

いきなり暗殺シーンから入っていく組み立ては意外だった。
そのあとをフォローできるものかと危惧していたが、執拗さを我慢すれば見所は多い。
銀幕時代劇を意識しているのも好感が持てるが、限界があったのも事実だ。
繰り返しになるが、それを補ってくれるのがシネマ製作理念だった。

平たく言えば、
井伊直弼はこの暗殺事件で唯一知ってい個人名でこれからも忘れることも無いだろう。
だが、本シネマの主人公である暗殺指揮者の名前は明日にも忘れてしまうだろう。
それでも、水戸藩浪士が刻んだ日本改革の一歩のことは覚えていくだろう。

今年は国営TV放送が「坂本竜馬」を大河ドラマで革命家として描いている。
そして、革命の発端を切り開きそして捨石となった水戸藩士に今日僕は見合う。
革命家は侍の時代にしかいなかったと、今の日本は嘆いているようだ。

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