ピータールー マンチェスターの悲劇 (2018) 

文字数 816文字

【歴史から学ぶ、歴史は繰り返すから】 2019/8/10



江戸幕府が異国船打ち払い令を出し、シーボルト事件があった19世紀初頭、
日本が鎖国政策の防御に必死だったころ、
1819年 英国マンチェスターで起きた貧困からの自由を求めた人たちの運動を
丁寧に描いたのが本シネマ。

シネマ冒頭でナポレオン戦争の雌雄を決したワーテルローの戦いがほんの1シーン流れる。
大英帝国の栄光のために戦争に召集された貧しい若者が、その戦場にいた。
彼が帰還した故郷の町は、産業革命による労働力確保のため農地を取り上げられた元自営農民が資本家に酷使されている。
穀物法で食料が高騰し、賃金はカットされ、職そのものもなく、
一方では戦争の英雄ウェリントン公に多額の報奨金が出される。
すべてにおいて貴族 資本家 役人のための政治がおこなわれているなか、
民衆の蜂起を扇動する人たちが現れる。

シネマでは155分にわたり労働者階級の貧困、資本家の傲慢、王室・政権の傍若無人、
革命グループ内での確執、そしてセントピーター広場での人民集会、
そこに起きた悲劇が淡々と再現されていく。

暴力を持たない民衆に対する、騎馬兵隊たちの残虐行為は目を覆うものがある
…しかし200年たった現在においても珍しい光景ではない。
騎馬兵が戦車に、武装警官に変わっているが、
抑圧される側は非力ではあるが強い意志と勇気を待った生身の人間たちに変わりはない。

ピーター広場に集まった人々の要求は「一人一人に選挙権」を!(ただし男性のみに)
今選挙権を持っていながら放棄している人たちは、
マンチェスターの人民になんと弁明するのか。

不当な法律解釈 多数の横暴を是とする現在の政治家、
資本家は200年間進化していないのか いや退化したのか?

民主主義誕生の英国に起きた虐殺の悲劇、
歴史は繰り返すといわれる、
だからこそ歴史を正しく学び自分の意見を待たないと、将来は本当に危うい。

マイク・リー監督の想いがたくさん詰まった名作だった。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み