散歩する侵略者 (2017)

文字数 787文字

【ファイト一発 愛情ワクチン】 2017/9/11



黒沢清監督が地球侵略SFを手掛ける・・・?!
面白そうだと思った、いつものように事前情報、予断無しで拝見した。
なるほど、舞台劇をベースにしたシネマなんだ、肌触りがまるで違った。
VFX満載、怪獣、宇宙船、奇怪な姿かたちの宇宙人などは出てこなかった、
これもなるほど。

たった三人の宇宙人斥候が日本人の身体に乗り移って
地球侵略の段取りをつけるというのが主な粗筋。
SFは大前提がとても大切だが、本シネマはそんなことにはお構いなし 無頓着だ。

三人の宇宙人斥候は人間たちに気安く・・・「地球を侵略に来た」と話しかける。
主人公夫婦(長澤まさみ、松田龍平)の夫が宇宙人に乗り移られるが、
二人の会話はカジュアルで決して深刻にならない。

さて、だからといって小難しい長台詞がすべてではない、
謎の武装集団の襲撃があり、無人機爆撃ありの
アクションサービスもある。

そこには地球クライシス物語・宇宙人侵略で遭遇するであろう
庶民のリアクションパターンが皮肉を込めて描かれる。
普通の人間にとって大切だと思われる概念が、
この斥候部隊によって採集されるのがキーかもしれない。

人間が大切にしているらしい概念「家族」、「仕事」、「怒り」そして「愛情」を
採集して評価し宇宙人は侵略を最終決定する。
なるほど、これももっともな戦略に違いない。

ポイントは、概念を採集された人間にはそのあと、
その概念が欠如したままになるというお笑い要素のオチがついている。
某宗教の訓える「愛」を採集しものの、意味不明と切り捨てる宇宙人、
かなり毒の強い例えではあった。

もしも、これらのシーンで、笑うことができなく身につまされることがあれば、
あなたはご用心ご用心。

本物語の結末は大体予想できるものだった。
風邪ウィルスで全滅するよりは、
人類から学ぶものがあった今回の宇宙人は運が良かった、
いや賢かった?

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