フォーカス (2015)

文字数 402文字

【非日常はシネマにお任せ】 2015/5/4



名作「スティング」以来このジャンルのシネマにどれほど癒されたかわからない。
大金持ちで嫌味な奴が、「引っかけられる」のは、庶民にはえも言われない愉悦である。
そのトリックが現実離れしていればいるほど、愉快さも増すというものだ。
これをして「貧乏人のひがみ」というべし。

だから本シネマは、ゴールデンウィークにどこにも出かけない、めちゃくちゃ五月晴れの昼間に観るべし。
暗闇から解放されて太陽に目がくらんだら、現実を思い出そう。
さっき見た、スペシャル詐欺グループのことはすっかり忘れよう。
詐欺のリーダーがイイ男で、恋人も超ド級の美女だということも忘れてしまおう。

本作には、よくよくできた詐欺トリックソフトが2作用意されている。
そのからくりに見事にはまってしまったけど、この観客だましこそ、この手のシネマの存在意義である。
素直にだまされた自分を、普通の庶民だと誇りに思った。
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