シン・ゴジラ (2016)

文字数 723文字

【自虐的内閣府広報シネマ】 2016/7/29



ポリティカルエッセンスがゴジラと共存していた。
その意味では元祖ゴジラのリサージェンスなのだろう。

本シネマでは現代日本の危機管理無能ぶりを多様にさらけ出してみせる:
会議を繰り返しても決定できない政府、閣僚たち、
それでいて結論ありきの形骸化してしまった会議、
「想定外だ」と繰り返すだけの無能な閣僚、
古色蒼然とした官僚ヒエラルキーによる弊害の数々
・・・がゴジラ出現で一気に噴き出してしまう。
いや、今の今もこのようなポリティカルナンセンスが横行している。

驚いたのは、アメリカとの関係においては想像以上の発言が描かれる。
曰く:
「日本はずっとアメリカの属国だった」
「かの国はいつもいつも我儘を要求するだけだ」
「どうせ我々はアメリカの傀儡だろう」
「3個目の核爆弾を日本に落としてはいけない」
等々、エンターテイメント「ゴジラ」の深層にある
「終わりなき戦後」が浮かび上がっていた。

一方のゴジラといえば、幼少から壮年までの進化発想に度肝を抜かれる。
今回は、核発電廃棄物がゴジラの宿命を決めたという設定も、
さりげないながら強烈なポリティカルエッセンスだった。
ただし、ゴジラの秘密に関してはシネマの内容だけでは不明な点が多く、
それはゴジラの弱点に関しても同じ。
あれよあれよという間に、
ゴジラ退治の妙案が若手官僚たちによって作成され戸惑ってしまった。

ところで、野村萬斎さんがゴジラの舞にトリビュートしたとのことを聞いた、
新橋に仁王立ちの姿は 然もありなんと思った。

本ゴジラシネマは日本の独立を切に願うゴジラの身を挺した訴えがテーマだろう。
日本にはまだまだ有能な若い愛国者がいる微かな希望とセットの、
戦後総括のゴジラ物語だった。

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