ハードコア (2016)  

文字数 902文字

【FPSだけじゃない、コプリーがいる】 2017/4/3



FPS ファーストパーソンシューティングというゲームがあるそうな、
そのテイストで作ったシネマだということを学習した。
ガンファイトを一人称で見せるシネマだということで理解したものの、
それならばいろんなフラストレーションがたまることよ
・・・と憂慮を抱えながら拝見せてもらった。

何より、一人称であれば、主人公の姿かたちを見ることができない苛立ちがあるだろう?
かって古典的名作の一人称シネマの時も鏡に映る顔が一瞬見えただけだった。
映像はほとんどが銃撃の相手なんだろう、それも主人公に撃ち殺される消耗品のようなものをみる羽目になるのか?
銃撃戦のバリエーションをいくらたくさん見ても益無いこと、
ゲームテイストというが見る者の意志や操作がそこに反映されるわけでもないのだから。
などなど、実験的シネマと絶賛されるほどに
ネガティブな予想がわき起こっていたのは事実だった。

シネマは観てみてなんぼのもの。

懸念通り主人公の顔、体はほとんど見えない、
足先と手先が見えるだけ、そう僕自身の日常の映像と同じだ。
しかし主人公の実態が気にならなくなる上手な理由が冒頭で説明される、
彼は一種の人造人間に改造されているらしい。
問題は主人公ハリーが見るもの(つまりは映像)なのだが、ほぼ3人に絞られる、
妻、悪の権化、そしてジミーと称する複数の人間(?)。

そのジミーを演じるのが、世界級の曲者役者 シャ-ルト・コプリーその人だからうれしくなってしまう。
彼が今まで演じてきた特異なキャラクターのコレクションを、
本シネマでは一気に何人も見ることができる(その訳は観てのお楽しみだけど)。

ここに至って、FPSへの違和感・懸念はすっかりなくなってしまうはずだ、
僕はコプリーを愉しみ尽した。

本シネマの名誉のために申し添えると、
シューティング対象、手段ともに拡大されていて、敵は歩兵、戦車、ヘリコプター、
武器も銃、刀、RPG、グレネードと目の回るようなシューティングシーンが連続する。

それでもなおシネマには人間の匂いが大切だと信じる立場だ、
今回女優さんの活躍シーンが少なかったのは残念だけど仕方ないか。

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