いのちの停車場 (2021)

文字数 755文字

【重厚かつ感動の「吉永フィルム」】2021/5/21



近年、年に一度の吉永フィルムには律義に付き合ってきている。
毎回実力者監督が起用され、共演人も主役級の男女がゾロゾロと顔を出す、
これもひとえに「吉永ブランド」のおかげである。
僕もその欠片でも味合わせていただきたくて拝見しているわけではある。
ご祝儀とかお付き合い・・・と批判されても仕方がない、
だって小百合姫作品なのだから、観るしかないのである。

しかしながら、最近はご高齢の影響が映像に現れてくる頻度が多くなった。
年齢相応の作品を選んでいるのだろうが、少々クローズアップがしんどくなってきた。
今年76歳ということを知っていればいるほど、心のなかで悩ましく思う・・・「お年の割にはとっても若い、綺麗だけれど、この役はチョイときついよね」って。

本作でも、救命救急のチーフドクターという設定だから役付きだとしても63歳前、プロローグシークエンスの熱傷患者治療では背筋を伸ばしていたが、お顔のアップシーンには紗がかけられたような淡いフォーカスになっていて、高齢顧客(僕)には観づらいとしか感じられない不快感が残った。
このパターンは、当然ながら最後まで続くわけであり、広瀬すず、松坂桃李ご両人の最強助演人のフォーカスと違っている、まぁ我慢したけど。

物語りは在宅治療に従事する現場医療スタッフと患者との心の触れ合いを描く。
死を待つだけの患者、治療を拒否する患者、入院したくない患者に加えて、近親者の立て続けの不幸。
医療の無力さと命の軽さを目の前にしても、ひたすら患者に寄り添う主人公たちの姿に素直に感動させられる。

いま、感染症パンデミックのなかで力を尽くしている慰労従事者すべてに、
あらためて感謝の念を捧げる。

「吉永フィルム」としては、久々の重厚かつ感動の出来上がりだった。
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