アシスタント (2019)

文字数 718文字

【ジェンダー・イシューへのアンチテーゼ】 2023/7/11


入社2か月の新人(アシスタント)の一日を延々と追いかけるシネマだった。
朝一番に職場にいきボス、先輩たちの仕事の準備をするところから始まり、「帰っていいよ」とボスに言われ帰途コンビニでケーキを頬張るシーンで終わる、
見せ場のない労働者物語なのだが、狙うポイントはしっかりと受け止めさせていただいた。

2019年と言えばハリウッドの大物がセクハラで訴えられたことを皮切りに、続々と告発が続いていたころであり、ハリウッド自体がその悪に正義の剣を振りかざしたころであり、結果 「スキャンダル(2019)」、「シー・セッド その名を暴け(2022)」に至る ジェンダーイシューをテーマにした製作がブームになった頃でもある。

失礼ながらそのような反権力を標榜する姿勢もなければスタッフ・キャストも地味な本作は、ジェンダー・イシューのアンチテーゼ として異彩を放っている、世論がいくら騒ぎ立てようともハリウッドは男世界であり、その中で女性がのし上がるには、その泥水を飲み下しなおかつ清水に変換してしまうくらいの知力と根性がないと到底無理だということを、だらだらと説明してくれた。
昭和の男性としては、どんな職場にいようともジェンダーに関係なく、生活すべてを仕事に(ボスに)捧げるくらいの偏向した出世欲 がなければ成功はしないということを実体験で知っている。 この原理は今もそんなに変わっているとは思わない。

人を権力で暴力で蹂躙していいわけはないが、逆にそのチャンスを利用しようとするのも人間(男も女も)の性である。
そんな世の中の腐りきった現実に憤る新人(アシスタント)が可愛らしかった。
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