予告犯 (2015)

文字数 466文字

【小気味いいクライムシネマ】 2015/7/2



日本でも小洒落た犯罪シネマが創られることがわかってハッピーです。
中村監督タッチにまたしても軽く酔わせていただきました。

ネット上での理不尽狼藉に正義の鉄槌「予告」をする主人公と彼にまとわりつくネット世論が大きなテーマです。
その背景にある経済格差、その要因となる教育格差の問題も熱く語られる見どころです。
そして、一見蛇足のように思える警視庁サイバーテロ対策担当女性警部との心の交流は、その問題提起を優しく身近に引き寄せてくれました。

「我が身の不運を社会のせいにするな、這い上がれ! 」  エリート警部の叱責に、
「あなたは 頑張れるくらいいい環境だったんだね」と反論する主人公の亡霊。

そこに見えてくるのは、どうにも手の施しようのない絶望だけでした。
派遣切り、就職困難、はたまたアジア日本人孤児など問題を戯画化して現代を批判する方法は今回も健在でした。

そして、主人公が目論んだ最後、最大の予告の秘密が明らかになったとき、心が温かくなっているのに気付きました。
ためになるエンターテイメントでした。
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