ヘイトフル・エイト (2015)

文字数 736文字

【間違いなく嫌味な奴らばっかし】 2016/2/29



上映入り口に映像スクリーンの注意書きがあった、
「上下に少し余りが出ます」のような。
雪原のオープニングシーンのワイド感覚に、
古き時代の西部劇を思い出した、「これは懐かしい」って。

ところが始まってみれば、駅馬車の中継ステーション屋内のシーンばかりだった。
吹雪で閉じ込められるという、ミステリー上の設定だが、
このスクリーンのおかげで狭い空間をワイドに見せてくれた。
そんな工夫があったのかも。

誰とも知れないナレーションが、
この閉じ込められた空間での事件を案内すると同時に、
シネマは五つの章立てになっている。
5幕の舞台劇のシネマヴァージョンといってもいいのだが、
なにせ内容は過激という言葉すらだいぶ超えている。
嫌味な奴ら8人の殺し合い・・・と片付けてしまえばそれまでだが、
賞金稼ぎの白人・黒人二人と賞金首の悪党女の印象が際立って強烈だった。

南北戦争の功労者、そのおかげで南軍からいまだに賞金がかかっている
黒人賞金稼ぎ(サミュエル・L・ジャクソン)の処世訓:
「丸腰の白人しか安心できない」は黒人の現実だった。
彼が大切にするリンカーンからの手紙が哀しい。

対する白人賞金稼ぎ(カート・ラッセル)は、
この時代にしてはリベラルなタフガイで黒人の権利すら尊重する。
B&W白黒二人の間で常に悪態をつきまくる女(ジェニファー・ジェイソン・リー)は
救いがたい悪党だ。
ここまでで、嫌味な奴らが3人。

そして出てくる出てくる嫌味な奴ら、
南軍元将軍、保安官、死刑執行人、メキシコ人コック、カウボーイ・・・以上で8人。

雪に閉じ込められた小屋の中で始まる、「そして誰もいなくなる」ゲーム。
西部劇ミステリーの名作は終始タランティーノテイストに溢れていた。

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