海辺のリア (2016)

文字数 599文字

【ブラボー! 仲代達也】 2017/6/7



「海辺のリア」というからには リア王と関係があるに違いないと思って、
リア王のモチーフの黒澤フィルム「乱」の仲代さん、原田さんの競演とのことで
時の流れを感じてみたり、
予告編情報の限りでは、映画スターの哀れな老境、老人問題にも興味があったりで、
少なからぬ期待をもって拝見した。

まずはシンプルなシネマづくりに感嘆した、黒沢シネマとは大きな違いだった。
主要キャストはその他に
黒木華さん、阿部寛さん、小林薫さん(もっともセリフ一言のみ)の5人、少数精鋭だ。
ロケ地は海辺を行ったり来たりと山道がちょっと、
映像は美しかったがありのままの素朴さが強調されていた。

美術、小道具には従って凝ることもなく、衣装に至ってはパジャマ一着のみの仲代さんだった。
そう これは舞台劇映像に他ならなかった。
寂しいというより侘しい「海辺」が自然の大舞台、
そこに僕は様々なシーン、鮮やかな絵を想像することができた。

仲代さんのシェイクスピアをこの壮大な自然の舞台の中で見ることができる幸せを噛みしめた。
ともすれば妄想とリアルが混在する老俳優の言葉ひとつひとつ、
表情の移り変わりが仲代さんの実像とシンクロする。

主人公の後悔と嘆き、
しかし大きな感謝の気持ちはフィクションなのだろうと思うその端から、
俳優仲代の真実に思えたりする。

シネマで出逢った《舞台俳優》仲代達也の姿はきっと忘れることがないだろう。

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