RUN/ラン (2020)

文字数 588文字

【古典スリラーに息吹く新しい才能】 2021/6/22



オーソドックスなスリラーだった。
愛情いっぱいの母親、でも車椅子の娘の心にふと沸き起こる疑惑。
冒頭から恐怖をあおる映像、神経を逆なでする音楽、懐かしさと恐怖が僕のなかで同居していた。

オーソドックスという響きには、今では「古典的」という意味もある、そのくらい現代のシネマは進化の歩みを止めないばかりかスピードアップしている。
本シネマにその進化を感じるとすれば、娘役を演じたキーラ・アレンかもしれない。
シネマ初出演のキーラは実生活でも車椅子生活だとの事前情報があった、僕が本作に興味を持った理由のひとつでもあった。
「37セカンズ(2020)」で主演した脳性麻痺の佳山明の自然な演技を思い出し、本作ではどのような扱いがされているか拝見したかった。

車椅子生活の演技は役者であれば誰でもできるはずだ、恐らく。
ただし、車椅子生活者がRUN(逃げる)という状況を自然に演じることは全く別物になってくる。シネマではRUN以外にも車椅子生活者ならではのシーンが多数、いくぶん意図的に使われている。事前情報のせいもあって僕はその度にヒヤヒヤしながら主人公に肩入れしてしまうのだった、なるほどこんなキャスティングも有効なんだ。

ほとんどほかの俳優さんもいない、母娘二人中心の本品で初出演、それも主演を立派にこなしたキーラ・アレン、次回作が楽しみだ。
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