リダクテッド 真実の価値 (2007)

文字数 621文字

【ニュースだからといって信じ込んでませんか】 2009/10/4



第一印象では(予断も含めて)またぞろイラク戦争批判かと思った。
なぜデ・パルマが?
この疑問は観ている中でうっすらと分かってきた。
デ・パルマのメッセージは映像情報の評価だ
・・・その意味で日本語サブタイトルは言い得て妙である。
そんなわけで以下では米軍兵士の犯罪については触れない。

米軍兵士のビデオカメラを通して観客はデ・パルマのメッセージを読み取る手法だが、
クセモノのデ・パルマはこの兵士の映像以外にも角度を異とする映像を投げてよこす。
イスラム系TVカメラ、
仏TVカメラ、
監視カメラ、
ネットTV会話、
投稿ネット動画・・・などなど。

そこにある真実は編集され、改ざんされた公けのニュースでは到底お目にかかることはない、
醜さ、偏見、憎悪、復讐、恐怖に満ち溢れた生々しい人間の実態がある。

デ・パルマの功績はひとえにメディア、
なかんずく映像メディアの脆弱さを露わにしたことだ。
戦争という極限状態を伝えるメディアには敬意を表するものではあるが、
意図されたり、リダックティッドされた断片情報に惑わされたり盲信してはいけない。

実は、僕らの周りには日常においても、
かような真実の衣装をまとった怪しい情報が闊歩している。
善良なる人は信じたい情報を歓迎する。
しかし映像は、情報は、誰かの、どこかのフィルターを通過している。
情報の判断には慎重になるべきと改めて自戒した。

デ・パルマらしいシネマ心意気を感じた。

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