荒野の誓い (2017)

文字数 678文字

【ウェスタンは遠くなりにけり】 2019/9/7



それにしても投げやりな邦題ではないか!
主役のクリスチャン・ベイル前作の邦題「君への誓い」から一文字、
ウェスタンの名作「荒野の決闘」からも一文字、組み合わせただけ。

ウェスタンシネマが製作されにくい状況であることは承知しているが、
ハリウッドはそれでも英知を注いでその伝統を継承しようと努めていることは
知っているのだろうか。

本シネマは、まさにその意味で価値のある作品だった。
全編に登場する美しい山々、岩山、緑の山、青く遠い空、豊かな森、激流、そして馬たち、
圧倒的な自然の中で敵対するアメリカ軍騎兵隊とインディアン、殺されていく双方の人間。
ウェスタンシネマの集大成だった。

物語はシャイアン族酋長一家を故郷モンタナまで護衛する騎兵隊大尉(クリスチャン)、
大尉と壮絶な殺し合いをした酋長イエロー・ホークとその家族4名、
コマンチ族に家族を虐殺された母親(ロザムンド・パイク)、
彼らを襲撃するコマンチ族、
護衛の旅に付け加えられたインディアン一家虐殺の犯罪者(大尉の元部下)の護送、
戦闘症で鬱状態の騎兵隊曹長、士官学校卒の少尉、フランス移民の新兵。

憎しみは憎しみを呼び、復讐は途切れることがない、
壮大な西部のたたずまいのなか、
ちっぽけな人間の醜い争いは尽きることがないのだろうか?

オープニングタイトルでのD・Hロレンスの言葉 
「アメリカの本質は人殺し」が響く。

老婆心:
2017年制作の名作が、今まで公開されなかったこと、
前述のように安易な邦題しか思いつかないこと、
ウェスタン(西部劇)は遠くなってしまった、少なくとも日本では。
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