ラスト・タイクーン (1976)

文字数 512文字

【歯がゆい】1978年2月下旬


一か月ほど感想を書き記さなかったのは、僕の怠慢ではなくシネマから何も受け取らなかったからだ。
お目当てはデ・ニーロ、「ニューヨーク・ニューヨーク(1977)」の期待外れを挽回してくれるのでは、また「タクシー・ドライバー(1976)」、「ゴッドファーザーⅡ(1974)」のような切れ味の良い演技が観られるのでは・・・などと思っていた。
よくよく考えると、近年のデ・ニーロの活躍はすさまじいものがある、出演作も多い。
売れっ子になると、往々にして準備不足やパワー枯渇が露呈してくる、せっかくの大作、著名スタッフに恵まれていても。

物語りそのものはよくできている(フィッツジェラルド作品)、加えて競演人が新旧取り混ぜての豪華絢爛だ。
しかし、映像のなったとき本作のテーマである若手有能な人物の失脚は通俗的すぎるし、そもそも説明不足だった。もう一方の伏線となる愛人問題はそれ以上に曖昧のまま進行し、愛情の欠片すら拾うことはできなかった。

ハリウッドの内側をハリウッドがさらけ出すことが矛盾であって、結局は中途半端に終わってしまう。「歯がゆさ」だけが残った。
デ・ニーロには次を期待しておく。
(記:1978年2月下旬)
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