波紋 (2022)

文字数 620文字

【パッチワークの女の一生】 2023/5/31


地味な俳優さんたち(失礼)がずらりと並ぶキャスティングに興味を覚えた。

監督・脚本は荻上直子さん、「彼らが本気で編むときは(2017)」での露骨な問題提起を今回も期待したのは仕方のないところであろうが、本作はうって変わってアイロニックな女性の生きざまをこれでもかと見せつけることで、ジェンダー 問題を提議しているようだった。

あの東日本大震災から12年、その間に一人の女・母・主婦・嫁それらを包括する庶民としての主人公の物語なのだが、大勢の日本女性が感じた不満、違和感がそこに込められている。
女性〇〇人に聞いてみました・・・「あなたが最近感じたことは何ですか、怒りでも愚痴でもいいですよ」的アンケート集計を思い出す。

放射能が怖くて西の方に逃げた旦那さんを厄介払いと喜ぶ妻。
嫁として義父介護に煮えたぎる思いがある主婦。
モンスターお客にいじめられているパートのおばさん。
孤独を癒すために不承不承新興宗教に金を貢ぐ独居女。
家出した旦那がふてぶてしく戻ってきたが追い払えない妻。
近所の奥さんとの付き合いが下手な女。
なぜか自宅庭に枯山水を描く主婦。
地震以来、部屋の整理ができなくなった女。
息子の恋人に破談を迫る母親。
極めつけは、枯山水を破壊しながらフラメンコを踊る女。

鬱積した女性たちの息遣いが聞こえてくるような パッチワークの女の半生でした。
これからの半生に幸多かれ、と祈る。
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