サタデー・フィクション (2019)

文字数 741文字

【反抗のシネマ作家】 2023/11/21


製作はコロナ前、きっちりと4年間公開を繰り延べられていたようだ。

コン・リーさん主演で1941年の上海が舞台、フランス租界、列強エスピオナージ・・・とくれば面白そうだが中国シネマでどこまで深掘りできるか疑問だし、逆に悪漢日本に終始するのも芸がないな・・と思いながらも、オダギリ・ジョーさんが出演しているとのことだけが拝見するきっかけになった、さて中国シネマの彼の存在感やいかに。

スパイがウヨウヨ跋扈する上海、1941年12月1日から物語が始まる。
章立てはその日付の更新になっている・・・これは開戦を巡る情報争奪戦なんだろうなと気づくのは容易い。
そのエッセンスは意外にもフレッシュなミッションインポッシブル、日本軍情報将校から開戦のキーワードを盗むことだ。 その最終点に向けて、著名な女優(コン・リー)、その愛人の俳優、南京側・重慶側・欧州側のスパイたちが知恵と暴力を競う。
前半反抗のストライキをテーマにした舞台劇のリハーサルシーンに絡んだ形での諜報活動だ進む中、なんともご都合主義なキーが登場し、しかし、そこからは一気呵成のスパイアクションに突き進む。 最近のゲーム感覚の殺しから原点回帰したようなリアルな銃撃戦、格闘は一見の価値ありだった。

太平洋戦争開戦情報を巡る上海での諜報戦、予期しない結末はぼくのシネマ常識をあっさりと覆し胸に刺さる。
それは諜報戦の無意味を嘲笑う、主人公のきついしっぺ返しだった。
国家も戦争も、それを言うなら男女の愛にすら価値はなかった。
反抗のシネマ作家ロウ・イエの真髄を感じた。

老婆心: オダギリ・ジョーさんはゲストスターに徹しておとなしかった代わりに、ボディガード役の中島歩さんが際立っていた。
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