花よりもなほ (2006)

文字数 772文字

【岡田君 遅くなってごめんね】 2006/12/27



是枝監督の時代劇に興味を持ってDVDを手にした・・・
というのが本当は格好がつくのだろうけど、裏の理由は「宮沢りえちゃん」でした。
主役、岡田准一というのも知ってたけど、りえちゃんに逢えれば幸せ・・という感覚だった。
是枝さん、スイマセン。
ところがところが、りえちゃんのシーンはさほど多くなく
代わってお笑い系の方々(上島、木村、千原、トミーズ、など)が
結構重要な役にキャスティングされていた。
加えて、脇の演技派連中(加瀬、寺島、平泉、石橋、中村、原田、田岡、國村、香川、古田)もコミカル路線を競い合っている。
長々とキャストを列挙したのも、
これほどの人材が是枝監督の下に集まるのは、きっとここのお仕事が
楽しいのだろうなと想像するからだ。
こうでなくっちゃ、良いシネマは創れない。
名誉の為に付け加えれば、岡田准一と浅野忠信はシネマ全般を支える役作りに終始していた。
このキャスティングゆえ、当然ながらシネマ全体はカジュアルな時代劇になっており、
日本人の大好きな「あだ討ち」を逆手にとって、武家時代末期の侍の存在と庶民の感覚を鮮やかに切り取って見せてくれる。

タイトルにもなっている「花よりもなほ」はその象徴として小気味良く機能している。
つまり、花よりもはかないものは何?本当に花ははかないものなの??って具合だ。
武士も、町人も、食い詰め人も人間として自由に生きることの大切さが伝わってきた。
今公開中の「武士の一分」に最適の解毒薬かも知れない。

ところで、期待したりえちゃんには肩透かしを食らったが、
期待していなかった岡田准一には驚かされた。
演技の力量は格段だし、何よりもシネマスターの趣がある。
これは努力して獲得できるものではないだけに、
彼には今後大きく期待していきたい。

岡田君、気づくのが遅くなってごめんね。

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