ブレイブ ワン (2007)

文字数 646文字

【ジョディのファンでいてよかった】 2007/10/28



ジョディの強い想いと才能が本シネマのすべてだ。
アップがスクリーンを横断する、外連味なし、眼、唇、鼻、が映し出される、パーツが物語る感情。バストショット、ロングショットが伝える彼女の悲しみ、怒り、決意、何よりも変身への衝動。

犯罪犠牲者がいる限り、恐怖が消え去ることはない。
そこに正義が下されない限り復讐への願望は燃え続ける。
恐怖と復讐はあるときに暴力に変身する。
婚約者を殺され、自らも死の淵から立ち戻った主人公(ジョディ)が変身する悲しさ、怖さが観所だった。

一歩狂えば、定番のリベンジヒロインアクションだからこそジョディ/ニール・ジョールダンのブランドも台無しになる。僕はジョディの人格が変身していく凄まじい過程の演技も評価するが、
元の人格をふとさらけ出すときに垣間見る優しさ、後悔のたたずまいに深く感動した。

シネマの、ある意味ベーシックな楽しみ方である「俳優に惚れ惚れする」を久方ぶりに満喫した。
《タクシードライバー》での出会い以来、ジョディのファンでいてよかった・・・と何度目かの納得だった。

ところで問題になるであろうと懸念するのは「アウトロー」の捉え方(法の裁きと正義の処刑問題ともいえるが)。良識人がガンで復讐する変身なんて、所詮夢の中の世迷いごとだとすれば、
その夢、せめてシネマで観させて欲しいものだ。

シネマはその意味でこそ、カタルシスを恵むエンターテイメントなのだから。
すくなくとも僕は、シネマを現(うつつ)と勘違いはしない。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み