日本のいちばん長い日 (2015)

文字数 661文字

【美しい、とても美しい日本人】 2015/8/10



原田監督の映像美にまたもや圧倒されました。
岡本喜八版前作がギラギラした太陽、汗と血をモチーフにしていたのに反して、
本リメイク作は夏の青い空、樹の緑が溢れています。
まるで前作の裏バージョンのようでした。

英文タイトルによると「ご聖断」。
「日本の一番長い日」の名のもとに、昭和天皇の物語になっていました。
だから美しいのです。
だから、前作を超えることができたのです。

天皇をキャスティングすることはもはやタブーではなくなったのですね、
不敬罪がないのは承知していますが。
イッセー尾形さんの物真似昭和天皇ではなく、
俳優本木さんが演じる昭和天皇像がそこにはありました。
冒頭の昭和天皇の日常生活に驚かされますが、
そのあとからも陛下のお姿がたくさん出てきます。
陛下が人間宣言する前の出来事という意味からこれらのシーンはショックでした。
あまりにも親しみ多く、あまりにも聡明で、公平な陛下の人柄が美しいのです
東条英機を叱り飛ばすシーンはそのすべてが集約されていました。

前作でも感じましたが、日本の民主化は昭和天皇と今上天皇、
そしてマッカーサー元帥のギフトである日本憲法で維持されてきました。

あと2000万人の特攻を実行すれば勝利できる・・・というような抗戦派の狂気が、
わが民族にはDNAとして今日も継承されているのが不安です。
昭和天皇が愛した阿南陸軍大将、信頼した鈴木貫太郎首相、
この3人の熱い思いを今一度胆に銘じる時だと思いました。

いいタイミングで、美しくも力強いシネマを観ることができました。

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