やっぱり契約破棄していいですか!? (2018)

文字数 571文字

【生きるも死ぬも面倒くさい】 2019/9/4



シニカルなシネマ、素材は昔からのネタだけど、コメディでもパニックでもない新鮮な仕上がりになっている。
古いネタというのは・・・殺し屋に自分の殺しを依頼したものの状況が変わって、それを取り消したいのに…というドタバタ。
いわゆる「すれ違い」がベースのドタバタ喜劇風なのかと予想していた、
・・・が違った。

自分の殺しを依頼する若者は、結局最後まで生きる意義を見つけることができない。
殺しの依頼を「延期」してほしい、その間にやることがある・・・・ちょっと想像したプロットとは違った。
一方の殺し屋といえば、殺し屋組合に厳しく管理され、「ノルマ達成至上主義」のワーカホリック、いまどき珍しい絶滅危機人種。
自分の存在意義を証明するため、依頼人を徹底的に追い詰める。
いまどきの老人と若者、働きバチと悩めるキリギリスの構造だった。

この二人を取り巻く環境として、
自殺願望者ガイドブックを企画する出版社、働き止めを勧告する殺し屋組合幹部、
現代社会の底に溜まった悲哀と怨念が染み出てきている。

どうしても、殺し屋と殺し依頼者のスラップスティックを期待してしまう僕がおかしいのかもしれない。
僕の期待は裏切られて、シネマは、澄まされたエンディングを用意する。

生きるのも死ぬのも簡単ではない、
いやはや面倒くさい世の中になったものだ。

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