憑神(つきがみ) (2007)

文字数 868文字

【うまいとは知っていたがうまい】 2007/6/23



封切初日、第一回目のスクリーンに馳せ参じた観客はくっきりと二種類に分類できて面白かった。
かたや浅田次郎信者と思しき熟年男女(早い話ジジババ)、
もう一方は妻夫木ファンに違いないローティーン少女たち。
僕はそのなかにあって、異色の「浅田信者でなおかつ妻夫木ファン」だと、ひとり自負していた。

そう僕が、いの一番に本シネマに会いたかったのは;

1.涙なし浅田ワールド
浅田ワールドにしては珍しく「おとこ」ストーリーが真一直線に描かれている本作が大いに気に入ったからだ。(もっとも、神様それも幼児の性別にこだわらなければだが)
本作の特色である「三種の神様」の使い方が浅田マジックとしては腰を抜かすほどの驚きではなかったのと裏腹だった。
2.名シーン
もうひとつ、妻夫木が演じる(だろう)シーンを、このシーンだけ観るだけでもいい・・ぐらい期待していた。

今、とっても満足している。
終始、妻夫木演じる彦さんの「武士の本懐」に焦点が定まっていた、「テーマにゆるぎ無し」は気持ちいいものだ。
一見、登場人物の、物言いが現代調だったり、西田敏行がコミカルに流れすぎたり、音楽がポップだったり・・・の次元違いに鼻白む瞬間を感じたような気もするが、瞬時に骨太浅田ワールドに引き戻されていた。

ファンタジーパートのCGは致し方ないとして、決して贅沢ではないが小憎いばかりに配置されたセットと、スクリーンの端の先を想像させる美しくもクレバーな映像は彦さんが生きた時代の激動と懐かしさをを的確に紹介してくれた。
撮影監督の力以外のなにものでもないだろう。

そして、僕が観たかったシーン、
彦さんと将軍慶喜との対面のシーン。
妻夫木はうまい。うまいとは知っていたがうまい。
このシーンだけが観たかった本シネマ、観る前から、観ながら、
観た後も感慨に満たされている。

将軍の言葉
「知り合いのものじゃ・・」をスクリーンで確認できて思い残すところ無し。
決まったね、妻夫木。

付録:キャスト&スタッフのエンディングロールが小洒落ていて一見の価値ありですぞ。
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