罪の声 (2020)

文字数 895文字

【やったね、宇野ちゃん】 2020/11/2



本シネマでいう事件とはグリコ・森永事件なのだけど
35年の歳月を考慮してか、はたまたスポンサーとの面倒な問題を避けて忖度の末なのか
「ギンガ・萬堂事件」になっている、このあたり35年前を知るもの、
70年大学紛争に身を置いたものとしては戸惑いと無念感にまず襲われた。
この感想は顧客の年代によって異なるものではあるが・・・。

シネマは事件の35年後、当時話題となった「子供の脅迫電話」を巡っての
ミステリー展開になっている。
映像でミステリーを愉しむことは久しぶりだったのは、題材が身近だったことに加えて
偏に脚本のおかげ、ドキドキしながら展開に引き込まれてしまった。
犯人は誰か?という一番の興味も満たしてくれたのも嬉しい限りだった。
犯人推理のお愉しみは、ぜひ劇場にて。

35年前の事件が重要な要素なのでほとんどのキャスティングがダブル、
若い時と現在の二本立てなので俳優さんも大勢出てくる、これも
シネマでの大きな楽しみ、「へぇ~」と驚くあんな人こんな人を見つけるのも面白い。

話を元に戻すと、
本作の主題は「声」それも子供の声、
その犯罪に使われた声に絡むのが3人、
星野源さんがその代表として一人悩み抜かれるのが
見どころだけど、
もう一人の男の子の現在を演じたのが宇野祥平さん。
宇野さんはいろんな役でたくさんの作品にお顔を出しているが、
今作では「罪の声」の一翼を担っている、だから役作りがディープだった。
貧困の底辺で生活していた35年をご自分の身体で一発で魅せてくれた登場シーンから、
僕は魅せられてしまった。
ハワイで死を迎えるのマーク・グリーン医師(ER)を彷彿させるといえばわかるように、
ヒョロヒョロ、しかしそこに生の活力はみじんも感じられない。
そのあとも複数回のシーンで「罪の声」の痛ましい遺産を表現してくれた。
小栗さんも星野さんも予想通りの上手な演技構成、
どちらかというと期待通りで感動も薄かったのに比べると、
今作での宇野さんはたくさんの俳優さんたちのなかで異質の存在感を発していた、
手厳しい言い方をすれば、
彼が本作をシネマにしてくれていた、
やったね宇野ちゃん。
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