マネー・ショート 華麗なる大逆転 (2015)

文字数 592文字

【立派にシネマの使命を果たしています】 2016/3/4



オリジナルタイトルは「世紀の空売り」、差しのギャンブル勝負のことだ。
それは銀行業界の腐りきったシステム、
いや機能していないシステムへ挑戦した人間の物語でもある。
だから、本作は決して「華麗」でもなければ「大逆転」でもない。

日本では一般的に「リーマン・ショック」と呼ばれている金融業界の詐欺と愚行を、
分かりやすく解説したシネマだ。
原作(世紀の空売り/マイケル・ルイス)を読んだだけではではどうしても理解できない
生きた人間感情の襞襞が映像化されている。

くわえて、金融業界がこけおどしの様に連発する専門用語、
例えば 
MBS(住宅ローン担保債権)、
住宅ローン債権CDO(Collateralized Debt Obligation)、
CDS (Credit Default Swap) などもシネマは解説する。
その解説がとてもユニークで卑近でクレージイだが、ストンと脳に収まってくる。

金融業界が揃って自分たちの金儲けのため暴挙に走ったなかで、
倫理感から、合理性から、はたまた挑戦としてこれに対抗して博打を張った人々。
その結末には達成感と巨億の資産が残ったのだろうか?

本シネマが最後に告げる、
原作が書かれた2013年以降にも、
なんと看板を挿げ替えただけの新しい衣の債権が話題になっていると。

世に欲望の火は消えず、詐欺師の種も尽きないようだ。

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