ミリキタニの猫 (2006)

文字数 614文字

【奇跡のドキュメンタリー】 2008/7/17



奇跡のドキュメンタリーだ。
用意周到に練られた展開ではないかと穿つ糸口すらない。
なんとこの罪深い、疑い深い、汚れた僕を許し給え。

シネマが問いかけてくる設問もまるで神の悩みそのまま。
皮肉な対比を意図的といえば言えるかもしれない・・・。
広島原爆投下と、ワールドトレードセンターテロ。
日系アメリカ人収容所と、9.11以後のアラブ系差別。

この間60年近く、何も変わることのなかった世界、アメリカ、もしかして日本も。
純なアーティストのみがこの歴史の矛盾、真実を語ることができる。
ホームレス日系アメリカ人アーティストのど根性を見せるこのシネマは、
やはり奇跡と表現するのが妥当。

なにしろ、製作のゴールがないまま画像は撮られていく。
そこで明かされる主人公ミリキタリの人生、
やり場のない怒りを絵に置き換えていくミリキタリ。

途中、9.11テロの生々しい体験を境に創り手の目線が変わってくる。
メッセージが確りと紡がれていく。
主人公ミリキタリもこれに同調するかのように人生集大成の作品を創りだしていく。

そこには構成も、いや思惑すらも見えてこなかった。
これはやはり奇跡、奇跡のドキュメンタリー。

作り物以上の真実があるかどうか、常々疑問に感じていたドキュメンタリーシネマだが、
本シネマに関しては、観る人ひとりひとりが、さまざまな感情と想いを持つだろう、間違いなく。
老婆心:
くれぐれも過大な期待は禁物だけど・・・。
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