羊の木 (2017)

文字数 654文字

【すべてこの世はこともなし】 2018/2/4



テレ東制作シネマということでちょっと期待感が高まる、
べつに何がというわけでもないけど。
それに吉田大八監督が大勢の曲者俳優を操る、これは捨てておけない。

予告編やTV番宣では、あっさりと6人の殺人犯が港町に住み移ってくる、
そこに生じたサスペンスは?
・・・・とのっけから強烈ネタバラシだ。
物語の語り部は市役所職員(錦戸亮さん好演)、
6人の仮釈放者男女のお世話係なので、此処までは至極ナチュラル。
6人のイントロダクションは職員が出迎えるシーンで的確に、
曰く芬々に、サスペンス感も盛り上がってくる、
がやはりナチュラル。
6人が実社会に慣れることの難しさも、彼らの秘密の身元が炙りだされていく
・・・ちょっとスリルっぽくなってくる。

一方、彼らの過去を知らないまま接していく町の人々が優しい。
宣伝コピーにもあった「この町はいいとこですよ、人もいいし、魚もうまい」
・・・がそのまま展開されていく。

僕は、この辺りで、ひょっとしたらいかにも物騒な6人が
地元住民の暖かい支援のおかげで立派に更生していくのでは?
スリラー仕立てのヒューマンシネマではないかと感じ始め、
それもそれでいいものだと期待していた。

ところがそのあとの展開はちゃんとしたサスペンスになる。
見事に僕の心変わりは逆撫でされてしまう。
終わってみると、期待通りシネマの醍醐味に感嘆する。
すべてこの世はこともなし、だった。

その「見事さ」は是非劇場で実感していただきたい。
小さな港町の「呪い」がキーだということだけお教えしておこう。

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み