ボーイ・ソプラノ ただひとつの歌声 (2014)

文字数 563文字

【セッション以上、奇跡のシンフォニー未満】 2015/9/15



音楽根性物語としては典型的なサクセスストーリーで、可でもなし、不可でもなしです。
その原因はとても明白です。

主人公の少年は、ボーイソプラノを磨いて国立少年合唱団でのし上がっていきます。
しかし、指導者(ダスティン・ホフマン)の言葉によれば、その歌声は神から一時だけ借り受けた贈り物に過ぎないのです。
そのボーイソプラノを一瞬の輝きに包ませるための、懸命な努力が美しいのでした。
人生には何度でもチャンスがある、そのために常に学び努力することの意義を本シネマでは奨めていました。

同じ音楽鍛錬物語である「セッション」にある挫折感への共感ではなく、未来への挑戦の意思が煌いています。
同じ音楽天才少年物語であった「奇跡のシンフォニー」にあったおとぎ話のサクセスではなく、しっかりと地に足の着いた人生への導きがありました。

不良少年の更生、父親の不実、友達の無慈悲、同じように友達の連帯感、教師の不統一などのありきたりの羅列があります。
また、結局は財力が実社会を支配していることも隠してはいません。
ご都合主義と居直り根性が混在して少年の将来を包み込んでいます。

でも、少年が自分の力で生きていくことを決意し、周りの人を尊敬することができるようになったこと、それさえあれば大丈夫でしょう。
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