クリーピー 偽りの隣人 (2016)

文字数 543文字

【邦画で上質のスリラーは久しぶり】 2016/6/18



監督は一人称のスリーラーがやはりお得意なんだな。
今シネマでは恐怖の度合いが段階的に強化されて僕の楽観をことごとく覆してくれる。
やはりスリラーシネマはこうでなくちゃいけない。

犯罪心理学者がサイコキラーと戦う構成は少なくないが、
それが偶然という設定を、さてどう判断するか?
元警視庁捜一の犯罪心理学者(西島秀俊)が家庭面で欠陥があるように見えないけど?
その妻(竹内結子)も夫の退職を喜んで受け入れているようだが?
なぜ辺鄙な場所に戸建て住宅を買ったのか?
未解決事件への興味とアプローチが唐突ではないか?
現職刑事の不審死をあっさりと事故と片付けるほど桜田門は冷たいのか?

などなど、疑問点がたくさんあるのだが、
シネマとしての恐怖の醸成スピードに置いてきぼりされる。
そう、これは捜査側の視点のシネマではない。
被害者の本心から出る恐怖の叫びがシネマのテーマだった。

その恐怖を俯瞰するような犯行現場のドローンショットは、
サイコキラーが次なる獲物を狙う街並み眺めるシーンに終息する。
その街並みを眺める犯人の眼差しに底知れぬ恐怖と無力感を感じてしまった。

老婆心:
香川照之なしでは成立しなかったシネマだが、
あまりにもこの類いの役柄が多くて気の毒な気もする。

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み