スクロール (2022)

文字数 631文字

【小さなハッピーエンディングが悲しい】 2023/2/3


映像美を期待していた、何にも根拠はなかったのだけど。
撮影はもちろん、そこに至るロケ選択、光、温度、湿度迄感じられるような映像を勝手に期待し、見事外れてしまった。
根拠としては期待の男優二人、それも美形俳優を起用しているから、というこれまた勝手な思い込みがあった。

タイトル「スクロール」はスマホに代表される映像を繰り上げ・繰り下げる、あのスクロールのように、今が辛ければ何もしないで良いから、いつか心穏やかな時に記憶を引き出せばいい(スクロールすればいい)という意味合いらしく、メタファ-ともいえない不愛想なテーマであった。

二人の若者とその恋人4名がそれぞれの仕事場で行き詰まる、夢や希望の見えない未来だから4人が屈折した毎日を送る、これも現実ありのままを再現し大きなカタルシスはない。
期待した「映像」は前述のとおりチープ感さえ漂う薄っぺらさ、今どき当たり前のSFX予算不足を補うような室内、夜シーンが多いため 作風の暗さがより一層強調され、せっかくの美形男優さんたちも闇に沈みがちだった。

働き方改革が叫ばれてから久しい。
丁度そのころ働き止めをした身としては、気の利いたことが思いつかないが、日本の衰退は相当深刻なのだろう。
その真っただ中でこれから生きていく若者へのエールを込めたシネマなのだろうとは思うが、いかにも取ってつけたような、ささやかすぎるハッピーエンディングに悲しくなってしまった。
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