神様メール (2015)

文字数 590文字

【美しくて切実な寓話】 2016/5/27



神様はまずブリュッセルを作り給う・・・という出だしから引き込まれてしまう。
ビルの一室に引きこもっている神様一家。
長男のイエスは放蕩息子らしく父(神様)に反抗するお調子者だった…とくる。
父は引きこもりらしくパソコンで世界を人間を創造し、そして日常と試練を与え続けている。
父はかなりの嫌味な性格で、娘のエアーが思春期の潔癖さの勢いで家出して
下界に降りてくるところから起き上がる騒動の一部始終がとても美しい。

このエアーちゃんは、どさくさに紛れて人間の余命を全員に一斉メールしてしまう。
人間にとっての永遠のテーマである「必ず訪れる死」ではあるものの
「覚悟していない死」を今作では意表をつく方法で取り出してくれる。
エアーちゃんが使徒として選んだ6人の人生と死生観が本シネマの核になってくる。
6名にそれぞれ余命をどう生きるかをヒアリングする神様の娘エア、
その目的は新・新約聖書の作成・・とは恐れ入った。
しかし、デッドラインが決まった6人の使徒の生き方が美しい。
6人ひとりひとりの心の奥底から聞こえてくる音楽が美しい。

物語はオチャラケ展開であるが哀しくて美しい。
神の力を借りなければ人間は素直になれないのかと思うと、人間が愛おしくなった。

老婆心:
今シネマは全くコメディではないけど、大いに笑ってしまうときがある。
そうでないと切実すぎるのだろう、きっと。

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