ナショナル・トレジャー/リンカーン暗殺者の日記 (2007)

文字数 756文字

【アドヴェンチャーシネマの有力跡目】 2008/6/22



インディ・ジョーンズ最新作と比較して観ると有意義かもしれない。
なによりアドヴェンチャーシネマとしてのお約束
「息もつかせない」が堅持されている。

世の中のお約束ごとの解釈は、時とともに変遷し、都合よく解釈されることも少なくない。
しかし、繰り返すが、アドヴェンチャーシネマには退屈の一瞬すら許されない。

インディー・新作がオリジナルスタイルに執着した分だけ、
古色蒼然となり21世紀の感覚から外れたのと対照的に、
ナショトレ・シリ-ズはなりふり構わないタブーへの挑戦が、
2作目にして新しい個性を創生し、ニュージャンルを構築した。
そのベースにある歴史的事実を背景とした大法螺吹きは、
観客の知的興奮を充たしてくれる。

この種の大法螺の行方は限りないから、ますますアドレナリンは増す一方となる。
今作にもあるバッキンガム宮殿、オーバルルームへの侵入など、
いくらシネマとはいえアンタッチャブルだと思うのが僕世代だ。
主人公チームは情報機器を駆使した、アドヴェンチャーの最先端を疾走している。
そしてお手本インディから学び取ったトレジャーハンティング伝統は
維持、洗練されている。

その一方、笑いの中で非白人がやたら殺される非合理な差別は本作ではご法度。
いや、ユーモアの衣の下に見え隠れした、アメリカ至上主義世界観も微塵もない。

ゲイツ博士の生き様に見出せるのは、アメリカ信奉の愛国心と家族愛、そして名誉。
なんと21世紀的、新しいアメリカ理想を模索する現代とシンクロしていることか。

インディ・ジョーンズがわが道をゆくのであれ、息切れするのであれ、
それはそれで結構。
その後継者たちは、着々と時代が求める形にトランスフォマーしている。
このナショトレシリーズの次回作に期待大。
時代は変わりつつある。

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