インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国 (2008) 

文字数 870文字

【老害】 2008/6/22



老害という単語が脳裏に思い浮かんだ。
老醜を晒すとまでは言わないが・・・と言い訳しても、
失礼なことだとは承知している。
《インディ・シリーズ》の思い出はそのまま我が一家、
子供たちとのシネマ鑑賞につながる。
あのテーマソングを聴くと、楽しくも懐かしい家族の絆が思い起こされる。
今また、インディが戻って来ると聞いて以来、僕はずっと心配していた。

心配の核はフォード氏のパフォーマンス、
それでもスタントの方の活躍チャンスになるぐらいの能天気だった。
まさか、シネマ全体が黴臭くなってしまうとは思わなかった。
4半世紀前と同じ味付けで食卓に載せられたご馳走、
それが本シネマだった。

僕のような単純なシネマファンこそが真っ先に、
「ああこの味だね。懐かしい、本物だ・・・」と擁護する立場なのかもしれない。
そこに感じたのは、現実との乖離、それも大きな隔たりだった。
老舗の味こそ毎日変化させ、向上させるものであることは、
最近の事件から学んだところではないか。
なぜ、名匠たるスピルバーグが変化を拒んだのか?
地球外知性というキーワードがあった。
彼のかってのヒットテーマ、そこから誕生した名作「未知との・・・」、「E・・」。

肉体派の本シリーズに忍び寄る宇宙の影、
新鮮なようでこれまた使いまわしではなかったか。
過去の成功例、いや失敗例にすらこだわりすぎてはいないか?
頑迷に陥ってはいないか?
この「老害」は一見も二見も正論である何事かを偉大なる先達が実行すると、
おかしなことに誰もが「害」だとは気づかない恐ろしさが付いて廻る。

老害の最たるところは、
たとえそこに不合理があってもそれは指摘されないこと。
シネマであれば面白いか、退屈しないか・・・
という本来の使命が脇にどけられたりする。
昔の名前、昔のスタイルで勝負するのを良しとする意見は尊重する、否定しない。
ただ、過去の栄光で生きていける世の中はもう終焉してしまった。
名作シリ-ズの幕引きの難しさに心を痛めた。

救いはインディ・ジョーンズそのご本人、
老いを感じさせなかったフォード氏に熱いエールを贈りたい。

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