ジェントルメン (2019) 

文字数 926文字

【緊宣にもマンボウにも負けず】2021/5/13



日本で新型コロナが勝手気儘に勢力を広げているなか、映画館も休業要請され、公開作品が極端に自主規制されている現状はシネマファンには耐えがたきを耐えるのみ・・の飢餓状態になっている。
そんな逆風のなか、公開された本作品は感染症のリスクのなか鑑賞する価値が高いものか、はたまた投げ売り状態の駄作なのか興味津々だった。
そんな邪心はガイ・リッチー監督に失礼であると承知の上でだ。
英国ユーモアの薫り高いガイ・リッチー・フィルムは多様化時代において貴重な高率顧客期待度を有している。アクション得意の「シャーロック・ホームズ」、懐かしの「UNCL」スパイ活劇などなど僕の感度にぴったりはまるシネマワールドを創り出してきた、
さて、本作はいかに?

製作、脚本、監督の三刀流を駆使した本シネマは、ガイ・リッチーワンマン作品に徹していた、まぁ当然のことなんだけど。
荒筋は大麻王(マシュー・マコノヒー)が引退する決意をし、さていくらで後継者に売り飛ばそうか・・・ということから生じるギャング達の殺しあい。
といってしまえば、血なまぐさい抗争劇のようになるが、そこはそうならないのがガイ・リッチー・フィルム、ユーモアと練り込まれた策謀が入り乱れかなりの程度にハイ・ブローな雰囲気でまとまっている。
そのポイントはヒュー・グラント演じるトップ屋が物語の狂言役として、このストーリー自体を脚本化して抗争するギャングたちにプレゼンする。
その目的は双方からの報奨金をせしめること、かなり狡すっからい役を演じ切るのは流石のベテランならではだった。
登場する悪漢たちは、東南アジアマフィア、セレブギャング、ロシアマフィア、町の自警団・・・豪華オールスターで盛り上げてくれる。
劇中劇と抗争物語が入り混じってして、どちらが本物か?などと悩む必要はない。
もともとシネマは虚構のエンターテイメント、この訳の分からない面白さが本作のエッセンスになっていた。

映像の至る所にラストのカタルシスへの伏線が隠されていたり、楽屋落ちの小道具が見えたり、目一杯シネマを愉しんだ。
顧客満足度も顧客期待度と同様に高かった。
一か月ぶりのシネマ、ちょっとだけストレスが軽減されたかな。
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