ファウンテン 永遠につづく愛 (2006)

文字数 601文字

【映像で感じる醍醐味】 2008/6/11



「難病と愛と死がテーマ」のシネマ類型と思いきや、
遥か天空を飛翔する格調に、まずもって身が引き締まる。

観終えて振り返ってみれば3本のストーリーが平行して進行していたんだっけ?
という印象だ。
はっきり言うと、判りづらい。
この3エピソードは単純に区分すれば
「過去、現在、未来」だとか「伝説、科学、超自然」と記号化することもできる。
すくなくとも三話のオーバーラップした物語は、僕の普通すぎる常識をひっ剥がしながらも、
一種トランス状態にいざなってくれた、眠らない程度にだが。。

遠く人類を遡るまでも無く、
不老、若返り願望は、人類の夢、夢のまた夢。
愛する人の死への道程を阻止するのも、これまた誠実なる人類の見果てぬ夢。
死に無力である悔やみ、生き残される恐怖は、愛する者の喪失をいや増し際立たせる。

一見、無限とも思われる宇宙、
永遠の命に満ち溢れるとも思われがちな惑星の終焉、
新星最後の輝きに人類の儚さが透けて見える。

「死をもはや恐れない」と悟り、死に行く愛する人に、
生き残る者が語る言葉もない。

観終えて一夜の夢見を経てようやく、こんな心境に至ったわけだが、
難病テーマ・・・というよりは難解テーマだったと感じ入っている。

老婆心:
近年、スペキュレイティブ・シネマにめったにお目にかからない。
論理でなく映像で感じることもシネマの醍醐味。
本シネマは、その意味でリマインダー役を果たした。



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