PERFECT DAYS (2023)

文字数 743文字

【HIRAYAMA SAN , WHO ARE YOU ?】 2023/12/22


役所さんのカンヌ受賞で話題のシネマだが、これって日本シネマ?
ヴェンダース・フィルムだとすればドイツシネマ?
いいえ、世界シネマでした。

THE TOKYO TOILETTというトイレ清掃会社社員平山さんの毎日を繰り返し繰り返し丁寧に描いていく、だからPERFECT DAYSなのだ。
トイレ文化先進国(?)らしい前衛的デザインのトイレが清掃の対象、こんなトイレなら、やっぱり綺麗にしておかなくちゃ・・・と思わざるを得ない。

この感覚が世界シネマたる所以なのだが、それ以上の世界普遍的な人生観が本作を貫いていた。
人は別々の世界に生き、その世界の夢を見る、だから人が交わるというのは幻想にすぎない・・・一種の絶望である。
そんな世界に閉じこもる主人公平山さん、冒頭からほとんど喋ることがない、頷きかけ手差しするだけ。

そんな世捨て人のような平山さんだからトイレ掃除に向いていると思ってはいけない。
実は平山さんには隠された過去があるらしい、誰でも過去はあるからそこに大きな意味はない。
頑なにデジタル文明に触れない、カセットテープ、フィルムカメラ、携帯ガラケイも業務にしか使わない、徹底している。

平山さんのPERFECT DAYSが延々と続く中、ちっちゃな事件が起きる。
彼の家族がぼんやりと浮かんでくる、優しさが見え隠れする、恋心も隠しきれなくなる。

木漏れ日を記録する平山さん、木漏れ日は人生の一瞬の出来事、二度と遭遇しない大切な一瞬になる。
平山さんは、苦い思い出の中のモノクロ盛木漏れ日ではなく、光眩しい木漏れ日をを見つけ出すのだろうか?
そのときは、平山さんが現実に戻ってくるのかもしれない。
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