シルミド/SILMIDO (2003)

文字数 986文字

【ソル・ギョングは健さんなのかな?】 2007/9/22



朝鮮戦争勃発の年に生まれた身としては、因縁浅からぬのかの国との関係。
現実は・・?といえば、僕は最低限の情報しか今まで持つことが無かった気がする。
積極的に知ろうとしなくても、朝鮮半島のことは知らないままで支障は無かったのが事実、いい訳ではなくて。
今の韓流ブームをかんがみて、まさに隔世の思いである。

そんな僕でも、韓国大統領府への武装ゲリラ襲撃事件は記憶にある。
同じ民族がどれほどの怨念で殺しあえるものか・・?とあきれていた、
その程度だった。
本シネマによればこの頃が南北対立ピークであり、その後の平和統一路線に移行したようだ。
民族統一は東西ドイツ統一にみるように、その当事民族に委ねるべきで、僕がコメントするのも不遜。

さて、
本シネマに描かれているのは、ちょうどそんな時期、風向きが変わる時代の悲劇だ。
戦争から平和への転換の渦流に巻き込まれた、男たち。
男たちとは、死刑の代わりに特殊部隊という殺人マシンに生まれ変わった囚人たちのみならず、
予想外だったのは、犯罪者を訓練する立場の将兵たちも、そこに含まれていた。
一蓮托生の例えどうり、国家の正義・倫理に悖る事実は闇に葬り去られる。

ドラマの柱に置かれているのが、本来敵対する「囚人と教育する兵士」の友情と死に様。
国益なんて言う益体もない世迷いごとを大事に信じる立場では無いが、
命令と服従が存在の意味である軍人たちの葛藤を大胆に真摯に扱う姿勢に虚を衝かれて感情が揺らいだ。
事実に基づいたフィクションとのことではあるが、
教育側軍人が偽善的ヒューマニズムに結論を預けることなく、
といって、教条的冷酷でもなく悩みぬく姿は新鮮なプロットだった、
ここはアン・ソンギの隊長役がいぶし銀の輝きで、シネマの華を作っていた。

ところで、東映が企画に関わっていたようだったが、
人物設定、男たちのエピソードが、かっての東映プログラムピクチャーを思い出させてくれる。
男ばっかり、囚人たち、過酷な日常、一片のプライド、
そうか・・・、番外地シリーズにこんなプロットとが多かったな。
そうすると、ソル・ギョングは健さんなのかな?

毎回、軍隊教育ストーリーに接するたび、恐怖を感じるのだけど、
普通の人間を殺人マシーンにしてしまうことはそんなに簡単なことなんだ・・・と。

それとも人間の本能なのだろうか?憎しみと殺戮は。
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