シルク (2007)

文字数 660文字

【映像と音楽にサンキュ&グラッチェ】 2008/1/20



世界の美しい景色を切り取った映像と心揺さぶる音楽、
このふたつがあるだけでも合格のシネマだった。
シネマらしいシネマとでも言い換えましょう。

ストーリーの骨になっている「シルク」、
蚕の卵を買い付けるためユーラシア大陸を横断する実業家が主人公。
まず、この壮大な旅の映像美で僕はこの作品にノックアウトされる。
日本の絹の優秀性、徳川幕府のもと地方でのご禁制品抜け荷のエネルギーなども
盛り込まれていて、
今現在、とんと元気の無い日本にはちょっと誇らしいエピソードもある。

だが、
なんといっても本シネマのジャパネスクは主人公を精神面で虜にする
「謎の女」、「幻の女」だった。
今でも、欧米、特にヨーロッパの男性は日本女性にからっきし弱いものだが、
どうやらこれはDNAのなせる技であったらしい。
主人公と愛する妻(ナイトレイが綺麗)の絆に忍び込んでくるジャパニーズビューティ。
この女(芦名星)はミステリアスで理想の女性像である日本女性を
可憐にイメージングしていた。
古い人間なのか、僕はちょっとだけこの展開を嬉しがっていた、
日本男子の面目躍如ってやつかな?

もうひとつの、そして絶対的アドバンテージを示したのは、阪本龍一の音楽。
全編に流れる旋律は優しさを押さえ込んだ力強さだった。
美しい映像に見合うのは、饒舌ではなく旋律だった。

唯一饒舌だった中谷美紀さん、せりふ中心の演技ご苦労様でした、大役でしたね。

そして、
美しい日本を描いてくれた、カナダ、イタリアの映画人に感謝します、
サンキュ&グラッチェ。


ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み