その土曜日、7時58分 (2007) 

文字数 558文字

【不愉快な後味を醸成してくれる名優】 2009/8/13



ちっとも楽しい想いのないシネマ。
これでもか、これでもかと連続する「バッカじゃなかろか」なドジ、ドジ、ドジ・・・。
どうしたらこんなに不運な成り行きにはまり込めるのか、それも一家で破滅へ。
いや、一家を巻き込むからこその悲劇なのではある。

自分たちの人生にも、もしかしたら起こりうるかも・・・という恐怖すらない。
本当に?
本当に「起こらない」自信あるか?・・・と影の自分に聞いてみる。
少しだけ自信がなくなる。

そんな不愉快な後味を醸成してくれる名優たち。
フィリップ・S・ホフマンとイーサン・ホークが演じる兄弟は
リアル世界でも僕らの周りにいる。
アルバート・フィニーはこの兄弟の父、たたき上げの頑固な性格
・・・これも周りにいる。
発端は「何も心配のない、誰も傷つかない安全な犯罪」
・・・このあたりから悪魔が現れる。
この親子の性格にあって印象的だったのは「思いやりの手抜き」。

もっとも「思いやり」があれば犯罪には手を染めるわけもないが、
犯罪にも自分を賭けることがない無責任さと相まって、
悲劇は苔むす暇なく一気に転がっていく。

結末に至っても、親子の齟齬は解消されないと考えるのか、
この親子は優しい悪魔の掌の上で漸く安寧を得たと受け止めるのか?

いずれにしても、心落ち込むこと甚だしい。

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